しなやかな貴金属

淀みのrhythmからなる雪隠

今日の散文 #1

1.

ポパイの朝食は、いつも詫びしい。縮こまったソーセージ。干からびたベーコン。黒色の殻の卵。それらがつねに用意され、料理され、保存される。わたしたちの胃袋は、それらに最適化された存在で、空虚こそが空白に空腹であることを祈る哀れな子羊なのである。これはままごとではない。繰り返す。これはままごとではない。ままごとの先の、見えたら膨らませるべき空想のキッチンの瞬間のシヴィライゼーションこそが、食文化と唯一袂を分かつことのできる部族であることを理解し、そっと君は喪に沈んだ。

 

2.

キッチン消毒キッチン消毒!キッチンは常に消毒されていなければなりません!なぜなら、食中毒になる危険性があるからです。方法は問いません。熱湯で煮沸しても良いし、アルコールを使っても漂白剤を使っても構いません。とにかく、我々の神聖なる食事処にこびりつく"穢れ"を、一つ残らず浄化してください。時給は8000円です。大学生、フリーター、どちらも可。

※この求人は早いものがちにつき、早いものを採用します。

 

3.

限りなく睦まじい老夫婦を頭の中で喧嘩させてみる。不可能に思えるかもしれないが、私の方略はそれを実現させる。1日目。少しづつすれ違いを起こす。2日目。少しづつすれ違いを起こす。3日目。少しづつすれ違いを起こす。少しづつすれ違いを起こすとはどういうことかというと、例えば君に彼女がいたとする。たまたまその日は皿を落としてしまう日で、彼女お気に入りのマグカップを落とし、割る。そういう温度感の、その場では許される些細なやらかし。それを「縁起」レベルで調節していくと40年後ストレスでふたりとも死にます。